愛猫を迎えるより前の、ある年の夏、7月上旬のこと。家の駐車場に迷い込んだ野良の子猫を保護する機会がありました。大の猫好きである私(と夫)にとって、それは喜ばしいことのはずでした。
ここでは、野良子猫の保護から最終的な決断に至るまでの実際の体験談をまとめています。忘れられない思い出をこうして記事に残すことで、同じような境遇にいる方の助けになれば幸いです。
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野良子猫が熱中症に
動物病院から帰宅する際は、貸し出してもらった鉄製のペットケージに野良子猫を入れて帰りました。ペットケージ内にはペットシーツを敷いておきましたが、動物病院から自宅に着くまでの数分間に、すでに無数のノミ(成虫)がペットシーツに落ちていました。
無事自宅に到着し、その日は玄関ポーチ横の日陰でケージのまま子猫を休ませてあげることに。室内(玄関)に入れることも考えましたが、当時、我が家には中型犬がいたこと、冷房などによる冷えが心配だったこともあり、帰宅後は慣れた環境を優先させることにしたのです。しかし、この判断が子猫を命の危険にさらすことになるとは、このときは思ってもいませんでした。下の画像は、動物病院から帰宅した日の夜の様子です。
翌朝、子猫の様子を確認しにいくと、日陰になるはずの玄関ポーチ横は完全な日向となり、逃げ場のない子猫はペットケージ内で荒い口呼吸をしながらぐったりとしていました。午前といっても夏の太陽は高く昇っていて、ペットゲージには子猫の体が収まらないほどのわずかな日陰しか残されていなかったのです。子猫は残りわずかな日陰に隠れるように体を精一杯ペットゲージの端に寄せていましたが、日の暑さと地面からの熱により体力が奪われ、完全に熱中症になっていると判断。想定外の状況に慌てる暇もなく子猫を玄関に避難させ、濡れタオルで体の熱を逃がすことを続けました。
熱中症から一命をとりとめた野良子猫
子猫が熱中症になっていることに気づいてから体を冷やし続けること約20分。はじめは自力で水を飲む力も残っていませんでしたが、体の熱が逃げるにつれて少しずつ呼吸が落ち着いていきました。相変わらず口を開いたまま呼吸をしていましたが、口元に数滴の水を垂らすとペロペロと水を舐められるようになりました。
口呼吸がおさまったころには、横たわりながら容器に入った水を自力で飲めるように。やがて呼吸や心拍が穏やかになると、子猫は体を丸めてすやすやと眠り始めました。画像は玄関に設置した仮の段ボールハウスです。
ペットシーツとレジャーシートで防水対策をし、熱中症対策として大きめの保冷剤を入れ、定期的に交換しました。
あとで確認してわかったことですが、一年を通して日陰になることの多い玄関横は、真夏は朝早くから日が差し、日の出~正午にかけて日向になるようでした。私も夫もこのことに気がつかず、無知ゆえに子猫を命の危険にさらしてしまったことを深く反省し、命を繋ぎとめてくれたことに心から感謝しました。
野良子猫、初めてのシャンプー
保護した野良子猫が熱中症になった日、夜には食欲が戻り、いつも通りの量のキャットフードを間食。翌日には段ボールで準備した仮ハウスから出たいと言わんばかりにぴょんぴょんジャンプして、昨日の容態が嘘のようでした。
それから約1週間、子猫を玄関で見守りながら人とのコミュニケーションに慣れさせ、シャンプーに向けた準備を進めました。動物病院でノミ駆除薬(猫用レボリューション)を滴下した際、「子猫に下痢や食欲不振が見られなければ1週間後にはシャンプーしてあげて大丈夫ですよ」といわれていたためです。
もともと人への警戒が薄い子猫だったので人に触られたり抱っこされたりすることには抵抗が少なく、これならシャンプーもできるかもしれないと判断しました。
ノミの成虫が落ちなくなったことを確認して子猫を自宅に上げ、夫と私の2人がかりで子猫のシャンプーをスタート。初めての浴室、シャワーの音、匂いなどに驚き、最初は喚くように大きな声で鳴いていた子猫でしたが、二度目のシャンプーが終了するころにはすっかりおとなしくなっていました。じっと耐えるように目を見開き、小さな4本足で体を踏ん張らせていた姿が忘れられません。
野良猫のシャンプーを行うことは夫も私も初めての経験でしたが、暴れて引っかいたり噛みついたりすることもなく、穏便に済ませることができました。シャンプー中は生きたノミの成虫がまだ何匹もお湯に浮いてきましたが、最後のすすぎの段階ではノミは見られなくなりました。
シャンプー後の子猫の様子とケア
柔らかいタオルでよく水気をふき取った後、ドライヤーの弱風で子猫の体をすばやく乾かしました。子猫は慣れないお風呂に疲れたのか、ペットケージに戻ってから一度だけ少量の嘔吐がありました。このときは消化されかけたキャットフードを戻してしまい、ひどく心配しましたが、食欲はその日のうちに復活。夜にはケージ内のおもちゃでよく遊んでいたため、夫も私も大丈夫だろうと判断しました。そのときの様子はこちらです。
シャンプー後は疲れた顔を見せていた子猫ですが、毛艶は格段によくなり、翌日は今までにない目の輝きが見られたため一安心。
先住の中型犬がノミの影響を受けることがないよう子猫と犬の生活スペースは完全に隔離して、子猫は晴れて自宅スペースで家族入りを果たすことになりました。
次回は、家族になった子猫の命名エピソードとその後の生活、私たち夫婦を襲った悲劇についてまとめていきます。
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